無言館の青春

毎年、この時期に中3生の国語では、「無言館の青春」を教えるわけですが、他の作品とは違って、この作品だけは、生徒から必ず出る言葉があります。

それは、「無言館に行ってみたい」というものです。

無言館をご存じない方のために少しだけ説明を加えておきますと、無言館は窪島誠一郎氏により、信濃デッサン館の分館として平成9年に開館した美術館です。第二次世界大戦中、志半ばで戦場に散った画学生たちの残した絵画や作品、イーゼルなどの愛用品を収蔵、展示している美術館です。

さて、私自身もそうですが、初めてこの作品を読んだときは、国語の読解や問というより、内容に非常に興味を持ちました。私も教科書で無言館を知ったので、それまでは全く知らないものでした。

そして、先ほど書いたように不思議と生徒たちに読んでもらうと、毎年のように必ず、「無言館て本当にあるの?」とか、「どこにあるの?」とか声が出てきます。そして、場所などを教えると、「行ってみたい」となるわけです。

中学3年生という時期に、こういった美術館を知り、そして実際に祖の場に行って、絵や展示品を見ることは、非常に良いことだと感じておりますし、また、なかなかこういう美術館に行くこともないでしょうから、そういう思いを持ってくれることは良いことですね。

過去にも生徒たちを連れていったことがありますが、今年も機会があればぜひ連れていきたいと考えております。

戦争関連で言えば、中2で習う「夏の葬列」や小4の「1つの花」、小6の「川とノリオ」などもありますが、この無言館の青春の作品を読んだ時の生徒たちの反応が他とは異なるのを感じます。

教科書は、国語の力をつけるだけでなく、語彙力、漢字の力、そして、言葉のきまりなどから、読解の部分までいろいろと学び、そしてこちらとしても教えることがたくさんありますが、国語という部分を抜きにして、ただ単純に作品を読んで、「行ってみたい」と生徒が感じることは大切にしていきたいと考えております。

戦争に限らず、どんな文章であっても、「続きがどうなるのか」や「もっと深く考えてみたい」「ものすごく感銘を受けた」など、心そのものが感じることの部分も大事なことではないかと思う毎年のこの時期です。

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